続)結露する家、しない家
前回の「結露する家、しない家」は、どんな状況だと室内が結露するか、という話でした。今回は、窓の外側が結露するって話です。
これ、我が家の和室の北面の窓です。YKKAP430ってやつで、樹脂サッシのトリプルガラスです。断熱性能はかなり高いと言えます。なんで結露?と思うことなかれ。内側ではなく外側の結露です。
同じような感じで、洗面所の北側の窓も外側が結露してます。和室の窓に比べてうっすらと曇っているだけです。
そもそも、なぜ外側が結露するのか。そして、和室と洗面所の窓の違いは何でしょうか?
窓の外側が結露するのを見たことない人は多いかもしれませんが、実は似たような現象が皆さんの生活でも起きます。
ちょっと分かりにくい写真ですが、車の露です。雨が降ったわけでもないのに、朝、くるまがビショビショになっていることがありますね。アレです。
窓の外側が結露する現象と車の露は、同じメカニズムで起きてます。
突然ですが、宇宙は、とっても冷たいです。宇宙自体は-273.15℃、絶対零度ってやつなので、遮熱シートのウソホント(上)で説明した「放射」をどんどん飲み込んでいきます。(※途中に地球の大気があるので、地球から見上げると絶対零度そのものではないんですが、とにかく冷たいです。)
地球上のものから宇宙に向けて、熱がどんどん逃げてます。もちろん、家の車からも。昼間は太陽の熱がそこらじゅうを暖めるのでジワジワと気温が上がっていきますが、夜は熱がどんどん逃げて、周囲はどんどん冷えていきます。当然車もどんどん冷えていきます。
地表面近くにちょっと暖かくて湿った空気がある時、宇宙に向けて熱をバシバシ逃していったらどうなるか。たとえば車が冷えて周囲の湿った空気に触れれば、結露が起きます。そして車はビシャビシャ。車の中で暖房でもかけていれば、宇宙に逃げていく熱を車内から外に向かってどんどん供給することになるので、いつまで経っても車は冷えず、結露もしません。放置している車に露がつくのはそういうことです。内側からの熱の供給が無いから。
これが、車に露がつくメカニズムです。
さて、窓はどうでしょうか?
宇宙空間に向かって熱が逃げている、というところまでは一緒です。
違うのは内側からの熱の供給です。
家では人が生活しているので室内から外に向かって熱が供給され続けてます。ただし、断熱の性能によって外に逃げていく熱の量が違ってきます。ガラスに注目すると、シングルガラスは熱をたくさん通してしまうので、たくさんの熱が外に逃げていきます。トリプルガラスなら一番少ないです。ペアガラスはその中間。
さて、窓部分から宇宙に向けて逃げていく熱量は、シングル、ペア、トリプルで差はありません。同じ量だけ熱が逃げていき、同じように冷えます。ただし、先程言ったように室内から供給される熱の量が異なります。すると、、、
窓ガラスの外側の温度が、シングル、ペア、トリプルで変わってきます。室内から熱がたくさん出てくるシングルガラスは、窓ガラスの外側から宇宙に熱が逃げてどんどん冷えても、なかなか温度が下がりません。一方でトリプルガラスは断熱性能が高く、室内からの熱の供給がグッと少なくなるため、宇宙に逃げていく熱の量のほうが大きくなり、窓ガラスの外側はどんどん冷えていきます。
そう。車内が冷え切って車内からの熱供給が少ない車と似た状況になります。そしてとうとう結露する、というわけです。
窓ガラスの外側が結露するのは、高い断熱性能を持っているからに他なりません。言ってみれば誉れです。
さて、和室の窓ガラスと洗面所の窓ガラス、和室のほうがより結露してました。何が起きていたのか?実は違いは明白です。和室には障子があるんです。障子があるため、室内から外へ逃げていく熱の量がさらに少なくなってしまったことが、窓ガラスの外側がより冷えて結露が強化された原因です。
気づかないうちに家の外には熱が逃げていて、その熱が家の外側を温めています。その結果、外側で結露が起きたり起きなかったりしているんです。高い断熱性能を持つ窓が、その事実を目の当たりにさせてくれました。
熱ゴロウ
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