安全に暮らすために

「快適に暮らす」

ほとんどの人が望むことだと思います。

夏は、より涼しく。冬は、より暖かく。

「快適」を目指すと、必ず「我慢できる」と言い始める人達が出てきます。そんなに必要なの?と言う人も。「快適」を「贅沢」と捉えてる場合もあるようですね。でも、ただの「贅沢」や「不要かもしれないもの」ではないんです。

「ヒートショック」という言葉を聞いたことがありますか?室内の急激な温度差が血圧を大きく変動させることを言います。その結果、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすと言われています。ちなみに、ヒートショックで無くなる人の人数をまとめたものが以下です。

ヒートショックで無くなる方は、冬にかけて一気に増加します。寒さは、若いうちは筋肉量もあって自分自身で熱を作ることができるので「ガマン」してもどうにかなりますが、年齢を重ねると命取りです。年間17000人もの人がヒートショックで亡くなっていると言われています。交通事故による年間死亡者数は4000人以下と、全く比較になりません。(参考→https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikokoutsu)交通事故に備えて保険をかけるのに、ヒートショックには何も対策しない、というのは、無知ゆえのアンバランスに思えます。

さて、ヒートショックについてはネットを調べればあらゆる情報が出ていますが、今日書きたいのは、寒さの反対、暑さが命を脅かす方の話。

昨年の夏、エアコンの故障で病院に入院していた高齢者5名が熱中症で亡くなるという事件が起きました。覚えているでしょうか?詳細は検索してみるとアレコレ出てきますので、忘れている方は探してみてください。暑さは生命を脅かすことを思い出させる出来事でしたが、その実態がどのようなものか、改めて調べてみました。

熱中症による死亡者数の年齢別の統計です。高齢になるにつれその数が増えています。男性は作業中の死亡が多いからでしょうか、女性に比べ全体的にばらついています。そしてもう一つ特徴的なのが乳児です。年齢が下がるにつれ少なくなってますが、乳児だけが多いです。体温の上昇を気づきにくい高齢者と、自身で環境を変えることができない乳児で熱中症による死亡者数が高まっている、と読み取れます。

近年、暑い日が増えたから熱中症が注目され始めた、と捉える人がいる一方で、対して暑くもなっていないが、近頃は人間が弱くなったから騒ぐようになったんだ、と言う人もいます。実際はどうでしょうか?

平均気温は、実はほとんど変わっていません。平均が変わっていないので気温は上がっていない、と思ってしまいます。

1994年に突如、熱中症による死亡者数が増えています。年間の平均気温が上がったわけではないので、統計の仕方を変えたかな?と思いましたが、実は別のデータを見ると、別の事実が見えてきます。

これは、福井県福井市の、最高気温が35℃以上になった日をカウントしたものです。※福井市で開催されたセミナーで喋るために作ったデータなので、福井市、です。

1994年から一気に、最高気温が35℃以上の日の日数が増えています。確かに暑くなっていました。暑くなっているから、熱中症の患者さんが増えている、と言って間違いではなさそうです。グラフを重ねてみると、熱中症の死亡者数と猛暑日の日数が密接に関係していることが見て取れます。

 

さて、熱中症の患者さんはどこで発症していると思いますか?運動中?作業中?実態は想像と違っていました。

男性、女性、どちらも「住宅」で熱中症になった人が最大なんです。男女合わせて、全体の40%が住宅で熱中症になっているんです。 (※1)

正直、驚きました。屋外ではないんです。住宅内なんです。

どう対処すべきでしょうか。

住宅で、室温を下げるためにはエアコンを使うしかありません。通風でどうにか、と考える方もいるかもしれませんが、外の空気が暑いです。取り込んだところで知れてます。田んぼや木が多いエリア、海に近いエリアならまだしも、都市化が進んだエリアでは外気なんて暑くてどうしようもりません。

エアコンを使うことに抵抗を覚える人があげる理由で、気になるのがランニングコストです。「エアコンを使ったら電気代がかかるからエアコンを切る」と。じゃあ、住宅建築に携わるものとしては、エアコンのランニングコストがあまりかからない家を建てること、ができそうです。

エアコンを使うと冷えて辛い、と言う人もいます。どうすればいいでしょう?家の外から中に入ってくる熱量が多いと、その熱を除熱するためにはエアコンがガンガン動く必要が出てきます。つまり、断熱性能が低いと、エアコンはガンガン動くしかなくなります。エアコンから冷たい風がビュービュー出れば、誰だって寒いって感じてしまいます。家の断熱性能を高め、エアコンから冷気がどんどん出て来ないようにするしか無いんです。

 

暑さで亡くなる人が増え始めている今、家の断熱性能を十分に高め、「快適さ」というよりも「安全」な家を建てるべき時期が来ています。そんなに必要なの?という疑問に対しては、自身を持って、命のためには必要です、と言い切れます。

ゴロウ

g-takagaki@collabohouse.info

※1)家の外で熱中症になり、帰宅後、家から通報した場合も「住宅」カウントするらしく、実態はもう少し状況が異なる可能性がある、とご指摘頂きました。ただ。就寝中に脱水で亡くなる高齢者等を考慮すれば、住宅の断熱を強化する方針はブレません。

 

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