快適な家3原則(断熱編)
前回の「快適な家3原則(気密編)」に引き続いて「断熱」の話。
断熱の意味を理解するために、断熱が確保されていない場合にどんな事が起きるのか、考えてみます。断熱されていない家で困るのが、以下3つの点です。
・すぐ冷える/すぐ暑くなる
・上下温度差が大きくなる
・最低室温が下がる
断熱されていない家、と聞いて想像するのは、例えば冬に暖房で室内を温めても暖かさが外に逃げてしまって、どんどん寒くなっていく家、という感じでしょうか。それ自体は正しいです。イメージはこんな感じでしょうか?
断熱性能が低ければ、コップの冷たい水はすぐにぬるくなるし、断熱性能が高ければ、魔法瓶の中の冷水はいつまでも冷たい、という感じでしょうか。
コップに入った水を「熱」、水位を「室温」だとすると、「断熱性能が低く室温が下がっていく」様子は、コップに穴が空いていて、水が漏れ続けてるようなもの、と理解してください。「断熱性能を高める」というのは、水が漏れる穴を小さくすることになります。
「暖房で部屋を暖める」のは、コップに水(熱)を注いで、水位(室温)を上げることになります。コップに注がれた水の量よりも、コップから漏れ出る水の量が多いと、いつまで経っても室温が上がりません。
コップから漏れ出る水がチョロっとしかない(断熱性能が高い)と、ちょっとだけ足した水で、コップの水位が上がります(弱い暖房で室温が上がる)。冷暖房がすぐに効くイメージです。
断熱性能が高ければ外に逃げていく熱が少ないので、ちょっと熱を足すだけで部屋が暖かくなるし、逃げていく熱が少ないので、暖かさが長く続く、ということです。
家の外へ熱が逃げてしまう、と聞けば、部屋が冷えてしまう、とイメージしますね。ただ、少し時間を細かく刻んでみると、すこし違った様子が見えてきます。
外壁から熱が逃げてしまう、というのは、壁のすぐ近くの空気から熱が奪われてしまう、ということになります。壁沿いに、冷たい空気が作られていくわけです。
空気は冷えると重くなるので、壁付近で作られた冷たい空気は、下の方に集まります。どんどん集まって、足元は冷え冷え。上の方には、足元と比べ暖かい空気が溜まってます。結果的に、上は暖かく下は冷たい、冬によくある状態になります。そしてご存知のように、この状態はとても不快です。
断熱性能が高まるにつれ、冷たい空気の量は減っていきます。足元にたまる冷たい空気の量が減れば、結果的に上と下の温度差が小さくなっていくんです。
家の外に熱が逃げにくい状態になれば、家全体の平均室温が上がります。そして平均気温が上がる、というのは、グラフで見るとこんな感じ。
そもそも熱が外に逃げにくいので、家全体で一番冷える場所(例えば2階のトイレ)の最低室温が上がるんです。熱が外に逃げにくい、というのは、家の中で一番冷える部分の最低室温が上がる、ということになるんです。
まとめると、断熱性能を高めることで、冷暖房の効きが良くなり、上下温度差が小さくなり、家の中の最低室温が上がります。より快適な室内環境が出来上がります。
熱ゴロウ
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