窓まわりの熱の話、もう少し続きます。
そして、今回は細かい内容です。
読むのが面倒な人はサラッと結論だけ見て下さい。
夏は日射遮蔽しないと季節外れの暖房になる、と、
外から中へ入ってくる熱の話をしてきました。
今回は、窓を介して出入りする熱の全体像を見てみます。
夏と冬で様相が異なるので、今日は夏の話。
実際に計算してみます。
条件は以下のとおり。
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室温 :27℃
外気温:35℃ (愛媛県松山市のほぼ最高気温)
→8月中旬に記録
2.56 x 2.2[㎡] の面積の窓を通って室内に入ってくる日射量:880 [W]。
窓:APW330 遮熱Low-Eガラス(熱貫流率は 2.33 [W/㎡・K ])
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熱は、温度の高い方から低い方へ移動していくので、
夏なら、外から中への熱移動です。
前々回の記事では、太陽からの熱が室内に入ってくる量の話をしましたが、
入ってくる熱は太陽の熱だけではありません。
ガラスやサッシを通してジワジワと室内に伝わってくる熱もあります。
これは熱貫流率と外気温、室温がわかれば計算できる熱量でもあります。
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2.33 x (2.56 x 2.2) x (35-27) = 104 [W]
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日射熱が880W、伝導でじわじわ伝わってくるのが104W。
窓から室内に入る熱の合計が 984W で、日射が9割、伝導が1割。
夏、しっかりと日射遮蔽をすれば、室内の暑さ対策はどうにかなりそうですね。
次に、窓の断熱性能を向上させるとどんな影響がでるか、考えてみます。
APW330の熱貫流率は前述のとおり2.33。
同じくYKKAPのサッシで最高性能を持つのは、APW430で、熱貫流率 1.60。
APW430の場合、室内に伝わってくる熱は、
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伝導:1.60 x (2.56 x 2.2) x (35-27) = 72 [W]
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日射遮蔽するだけで880Wも削減できたのに対して、
サッシの断熱性能を向上させると、わずか32Wの削減。。。。
視点を変えて、日射遮蔽せずにガラス性能を向上させて対応!
なんて提案をしたらどうなるでしょうか?
日射取得率に関して、APW330の遮熱Low-E(0.4)を上回るのは、
APW430のダブルLow-Eトリプルの遮熱タイプで、0.33。
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880w / 0.4 * 0.33 = 726 [w]
880 – 726 = 154 [w]
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結構お金かけてガラス性能を向上させたら、154W削減できました。。。
明らかに軒出したほうが安上がりですね。
夏の暑さに対しては、窓の性能を上げるよりもなによりも、
日射遮蔽にチカラを注ぐべきということです。
そのほうが経済的。
熱のゴロウ
コラボハウス一級建築士事務所
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