窓のチカラ

パッシブデザイン

今日は「窓」が室内にもたらす熱についての話。
特に、リビングによく設置される大きな引違い窓について書きます。

窓にはよく使われる規格サイズがあります。
大きな引違い窓でよく使われる既製サイズが「2.56m x 2.2m」です。

このサイズの窓を通して家の中に入ってくる熱量は、夏、冬でどう変わるでしょうか。

夏は暑いからたくさん熱が入ってきそう。
冬は寒いからあまり熱が入ってこなさそう。

と思うかもしれませんが、実は逆です。

昼の12時に2.56m x 2.2m の窓から入ってくる太陽の熱は、
年間を通してこんな感じに変わります。
 ※遮熱タイプのLow-Eガラスで日射取得率は0.4の場合

オレンジが、軒が無い場合に室内に入ってくる熱量、
青が、軒のある場合です。

パっと見て分かるのが、単純な熱量は、夏のほうが小さく、冬のほうが大きいことです。
地面のような水平の面に対しての熱量は、夏が大きく冬が小さくなりますが、
窓や壁のような垂直の面に対しては、その逆なんです。

そして、軒の効果。

夏、気温が高くなる7月、8月ごろには、
軒の無い窓からは700〜800Wの熱が入ってきます。

これですよこれ。これの「強」運転です。
真夏にこれはヤバいでしょう。
軒がおよそ90cm出ていることで、5月〜8月は室内に太陽光が直接入ってきません。
十分な軒さえあれば、これ1台分が無くなります。

軒のある/無しが電気ストーブ一台分の差になると思えば、
明るさや開放感だけを求めて日射遮蔽せず大きな窓を使うことは危険ですし、恐怖です。
恐怖ですが、正直、今でもやっちゃってる家をよく見ます。
窓が小さくて入ってくる熱量が小さければ救われますが、
大きな掃き出し窓でやっちゃうと、一発NGです。

夏、暑くてたまらないんだろうなあ。
暑いからエアコンかけまくるんだろうなあ。

ただ、たとえやっちゃってしまった後でも、まだまだどうにかなるので、
気になる場合はご相談下さい。
南面の掃き出し窓にはご注意を!

転じて冬。
最も寒くなる1月頃には、軒があっても1500Wもの熱が入ってきます。

電気ストーブほぼ二台分です。
冬の寒い日、「太陽」という名の無料暖房が電気ストーブ2台分。
これはお得。

ちなみに、朝、日が昇って日没まで、
軒のある南面の2.56m x 2.2mの窓から入ってくる熱量の合計は、
一日あたりおよそ9kWh。
同じだけの熱量を電気ストーブで賄うと、金額にして230円。
というのが、晴れの日にゲットできるので、
一ヶ月の間に20日程度。

大きな窓一枚で、電気ストーブにして4600円/月分の熱量を得ることができます。

「窓」は熱が逃げていく場所でもありますが、
冬には熱を得る場所にもなります。
冬の日照時間の長い地域では太陽の熱をゲットする能力を生かしやすいので、
積極的に南面の窓を大きくしていくのも、良い方法だと思います。

ちなみに我が家は、南面が窓だらけ。
冬の太陽の光をとにかく取り入れたい気持ちで設計しています。

2.56m x 2.4m の窓が2つ、2.56m x 2mの窓が3つ。
トリプルガラスなので太陽の光をやや取り込みにくいですが、
それでも月々、電気ストーブにして20000円分くらいの熱量を得ています。無料で。

どうりで、真冬に暖房をしていなくても、室温が26℃まで上がるわけです。

のゴロウ
g-takagaki@collabohouse.info
コラボハウス一級建築士事務所

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