前回の続きです。
単純に「輻射」だけでは家中を快適にすることができない、
というのが前回の話でした。
そりゃそうです。輻射冷暖房のパネルが見えない場所には、輻射熱は到達しませんから。
じゃあどうするか?と言えば「対流」をデザインするんです。
間取りで気流そのものをコントロールしたり、
何らかの装置で空気を巡らせることも必要になるでしょう。
ここ、読み間違えないで欲しいのは、
「輻射冷暖房では家中を快適にすることができない」ではないですよ。
「輻射」だけでは家中に熱を伝えられない、と言っているんです。
気流をコントロールするための仕掛けとしては、
・吹抜
・欄間
・ドアのアンダーカット
があります。
■吹抜
※この吹抜は大き過ぎです
■欄間(らんま)
ドアや引き戸の上に作られる、空気が行き来できる部分。
※わが家にも作っておけば良かったか、、とも思う今日この頃
■ドアのアンダーカット
ドアの下お空気が行き来できる隙間のことです。
これらの仕掛けを駆使しつつ、家中に空気がめぐるようにしておけば、
輻射パネル周辺で作られた温かい(冷たい)空気を、
家の隅々まで行き渡らせることが出来るようになります。
吹抜を考えてみます。
家全体を考えると、吹抜は非常に効果的です。
1Fと2Fを繋ぐ穴が「階段」だけだと、
1F〜2F間の空気の行き来は階段部分で渋滞を起こしてしまい、
流れがスムーズ、とはいきません。
ですが、もう一つ穴(吹抜)があれば、途端にめぐりが良くなります。
輻射冷暖房を導入している家で、家全体に熱が行き渡っている家は、
この吹抜の使い方が非常に巧みな場合が殆どです。
室内の空気の巡りが良くなると、
暖房器から発せられた熱が家全体に伝わっていくスピードが上がるため、
温度ムラが小さくなります。
一方、欄間やアンダーカットは、各居室に暖気(冷気)を送り込むのに効果的です。
ドアを締め切っていても空気が入れ替わる仕掛けです。
隣り合う部屋のドアや引き戸の上に、欄間があれば、
ドア自体が閉まっていても空気が移動することができます。
これらは、熱源がエアコンでも同じことが言えます。
結局、熱源が輻射冷暖房パネルでも、エアコンでも、
家全体に空気(熱)を送ろうとしたら、
同じように間取りや欄間等の仕掛けを駆使する必要があります。
間取りの工夫ではなく設備を導入する場合はまた別の話ですが、
間取り+設備(ダクトとか使うやつ)が最強なんだろうと思いつつ、
費用もかかるので、間取りのみでできたらカッコイイなとも思いつつ。
輻射冷暖房の話をしているうちに、結局間取りの話になってしまいました。
一説では、輻射冷暖房を使った時に輻射で伝わる熱量は30%程度で、
残り70%は対流で伝わるとの事です。
輻射メインで色々と作り込んでしまうと、
家中温度ムラだらけになってしまう、ということです。
まだまだ奥深いです。
ですが、正しい物理的イメージを持てば大間違いはしなくて済むのも確か。
勉強します。
熱のゴロウ(高垣 吾朗)
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