「吹き抜けって熱環境悪いのでは?」
多くの人が持っているイメージのようで、
お客さんにもよく聞かれます。
結論としては
「断熱性能が高ければ大丈夫」
です。
20年前に、吹き抜けと天窓が流行った時期がありました。
そして20年前にもなれば、断熱性能はほとんど重視されていない時代なので、
十分な性能を持っていることは非常に稀です。
そんな家の吹き抜けがどのような温度状況になるのか?
夏の場合を考えてみます。
そもそも、
断熱性能が低い = 熱が沢山入ってくる
ということになります。
家全体のなかでも、特に熱が入ってくるのが窓です。
窓から熱が入ってくると、窓の近くの空気の温度が上がります。
窓と窓付近の床や壁近くでは温かい空気がどんどん作られていき、
温かい空気は軽いので、吹き抜けを通して2階に集まります。
吹き抜けの2階部分には熱い空気が集まって、
当然ながら、やたら暑いと感じるでしょう。
冷気は下にたまるので、点線の部分はある程度涼しいはず。
吹き抜けが無く、1階と2階の間の空気の移動が少ない場合、
1階、2階それぞれで上下温度差が生まれます。
吹き抜けがある場合に比べて上下温度差が小さいですが、
冷気や暖気が一箇所にたまるわけではなく、
全体的にぬるい状態になりそう。
ただし断熱が十分でない家の場合、
屋根からの熱が尋常でないので、
ほとんどの場合2階が灼熱になります。
窓から大量の熱が逃げてしまうような家では、上記のような温度分布になります。
吹き抜けがあれば上下温度差が大きく、夏はまだ良いですが、
冬は、寒いです。
吹き抜けに面して大きな窓を作ることが多いので、
その寒さは折り紙つきです。
断熱性能の高い家ではどうなるのか?
高垣邸の様子です。
吹き抜けの上になるロフトと、吹き抜け中ほど位置の温度を測定しています。
ザックリ見れば、ロフトも吹き抜けも似たような変動をしていて、
上下温度差は、0.5℃〜2.5℃くらいに見えます。
これだけ見ても「上下温度差」が分かりにくいので、
ロフトの温度と吹き抜けの温度の差を取ると、
以下のようになります。
昼・夜を分けてみてみます。
昼間は上下温度差が1℃程度に抑えられています。
外からの熱の流入と、
エアコンによる除熱のバランス、
そして、人があちこち歩きまわっているため、空気の混合が影響しているようです。
転じて夜は、
人は動かず、
エアコンは静かに除熱を続け、
下は冷たく上は温かい状態が強いです。
つまり、上下温度差が大きい状態で安定しています。
確かに1階に降りると若干ヒヤっとします。
エアコンの使い方の慣れが現れているのか、
24日あたりから、上下温度差の変動幅が小さくなっています。
最大で1.5℃の差。
実はわが家、まだ本気を出していません。
というのも、サーキュレーター等々で上下の空気を混ぜていないんです。
積極的に空気を混ぜないでこの環境、ということは、
混ぜたらもっと温度差が小さく出来る、ということです。
今測定している環境では、試しに本気出してみます。
昼の最高気温はまだまだ暑いので、色々と試せそうです。
ちなみに、コラボハウスの標準仕様の家だと、
サーキュレーターでしっかりと空気をかき混ぜれば、
上下温度差は非常に小さくできます。
というのは、また後日実証実験してお伝えします。
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