前回「蓄熱」したいと言いましたが、今回はその理由。
蓄熱できる量が大きいと、結果的に室温が安定します。
だから蓄熱量を増やしたい。
以降、ちょっとメンドウな話なので、気にならない人は飛ばしてください。
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家の「断熱・気密性能」「蓄熱量」「室温」を説明するために、
水の入った容器を例にします。
大きな大きな、水を入れられる容器を想像してください。
ここでまず大切なのが、
・水 = 熱量 (熱の量:ジュール)
・容器の底の面積 = 熱容量(どれだけ水が入るか?)
・入っている水の水位 = 室温(摂氏何度?)
というイメージです。
例えば、、
底面積(熱容量)が100c㎡の容器に、水を1リットル入れたら、
水位は10cm上昇します。
底面積が50c㎡の容器に、同じく水を1リットル入れたら、
水位は20cm上昇します。
底面積が小さい(熱容量が小さい)容器に水(熱量)を入れると、
水位(室温)がより大きく変化します。
底面積(熱容量)が大きい容器は、水(熱量)を入れても、
水位(室温)の変化は小さくて済みます。
熱容量が大きければ大きいほど、
温度の変化は小さく小さくなる、ということです。
さて、家は、外の気温と室内の気温の差によって、
常に熱が出たり入ったりしています。
断熱性能が高い場合、熱の出入りは小さく、
断熱性能が低いと、熱は大量に出入りします。
ここで、冬の場合を考えます。
冬は、外のほうが寒いです。
低断熱の家だと、家からは熱がジャージャー流れ出ます。
高断熱の家なら、家から漏れでていく熱はチョロチョロで済みます。
部屋を暖めたいので、暖房を使います。
暖房で、熱を容器に流し込みます。蛇口をひねってお風呂に水を入れるように。
高断熱の家なら、熱はチョロチョロとしか漏れていませんから、
蛇口(暖房器具)から入れる水(熱)もチョロチョロで十分です。
そうすれば、水位(室温)は維持できます。
低断熱の家だと、熱がジャージャー漏れ出ているので、
蛇口(暖房器具)から大量の水(熱)を入れないと、
水位(室温)を維持できません。
ここまでは分かりやすい、かな?
高断熱なら、暖房もチョロチョロでよし。
低断熱だと、暖房ガンガンじゃないと寒い、ということです。
ここからは蓄熱の効果。
熱容量が大きい(蓄熱容量が大きい)と、
熱が多少出入りしても、室温の変化は小さくて済みます。
なので、室温を一定に保ちやすいです。
ただし、室温が10℃だったりした時、快適な室温(21℃くらい)に上げようとすると、
大量の熱が必要になります。
立ち上がりが大変ですが、立ち上がってしまえば、あとはもうOK。
一度大量の熱を溜めてしまえば、あとは楽ちんということです。
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「室温を安定させる」
という目的を持った時、
まずできるのは
「断熱性能を高めて、熱の出入り自体を小さくしてしまう」こと。
そして、
「蓄熱容量を大きくして、温度変化を小さく抑えこむ」こと。
この両方が揃えば、室温はより快適な状態を楽に維持できる、はずです。
断熱性能の高め方は、あちこちで既に実践されてます。
コラボハウスでも、Ua値は0.6以下(Q値が1.9以下)だし、
2020年以降はQ値が2.7よりも悪いと、建てることすらできなくなります。
木は、熱容量がそんなに大きくありません。
したがって、何も考えなければ、木造住宅で熱容量を確保するのはとても難しいです。
身近にある熱容量の大きなもの、コンクリート。
これをどうにか上手く利用できないか?というのが今回の実験です。
我が家はその実験台なんです。
シロアリ、湿気、耐久性、費用、etc…
解決すべき問題は山積なので、
おいそれと気軽にお客さんに勧めることはまだ出来ませんが、
確実に、何かしらの成果を出せるよう、がんばります。
熱のゴロウ(高垣 吾朗)
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