床暖房のイロハ(2)
昨日に引き続き、床暖房の話です。
床暖房のイロハ(1)
http://netsu56.club/2015/11/29/blog-post_29/
今日は床暖房のランニングコストについて。
前回書いたように、床暖房にはいくつか種類があります。
今回は、以下3種類についてのランニングコストを考えてみます。
・電気シートタイプ床暖房
・ヒートポンプ熱源の温水式床暖房
・ガス給湯器熱源の温水式床暖房
どんな状況でのランニングコストか?
まずはそこをはっきりさせようと思います。
床暖房を「採暖」ではなく「暖房」として使う事にします。
※「暖房」と「採暖」については以下記事より
http://netsu56.club/2015/11/26/blog-post_26-3/
局所的に暖を採るためのものではなく、
部屋全体を暖めるために使うことを前提にします。
部屋の面積が40㎡、Q値が、コラボ標準の 1.9 [W/㎡・K]の家の時、
体感温度が21℃を維持する為に必要な暖房費用はどうなるでしょうか?
ちなみに、愛媛の冬の平均の最低気温が5℃なので、
外気温は常に5℃ということにします(乱暴ですが)。
床暖房を動かすと床面の温度が上昇するので、
体感温度を21℃にしようとすれば、室温は19℃程度で十分になります。
室温を19℃に維持している時、部屋の外に逃げていく熱量は、、、
およそ 1kW
生活排熱はおよそ500W程度なので、
供給すべき熱量は、、、
500W
これだけの熱を供給し続ければ、
室温を19℃のまま維持することができます。
さて、電気シートタイプ床暖房では、
500Wの熱量を供給するのに幾らかかるか、、、?
500Wが一時間で500Wh。
電気代を27円/kWhとすると、
一時間あたり13.5円。
これが24時間 x 30日となると、、、
9720 円/月
同じようにヒートポンプ熱源の温水式床暖房の場合は、
1の電気エネルギーで2.7 程度の熱を得ることができるので、
3600円/月
500Wh x 24時間 x 30日 = 360kWh
1kWh = 3600kJ
360 x 3600 = 1296 [MJ]
ここで、プロパンガス 1㎥ = 100.8 MJ なので、
プロパンガスの月あたりの使用量は 12.86㎥。
愛媛県のプロパンガスのおおよその値段は、
1㎥あたり650円なので、
8359 円/月
まとめると、
まあこれは、外の気温がずっと5℃で、
換気なんて一度もせず、
とにかく窓を閉じておよそ24畳の部屋を暖め続けた場合です。
気温はお昼には上昇するし、
機器の効率も色々異なるとは思うので、
この通りそのまんまということは無いですが、
同じ使い方をした時の、熱源毎の差は見えます。
一番お金がかかるのが電気シートタイプ。
次がガス熱源。
一番安いのはヒートポンプ熱源。
ランニングコストを真正面から比較したらこの程度の差は出ます。
もはや電気シートタイプの出る幕では無いですし、
ガス熱源も、非常に厳しいです。
エコキュートにせよエコワンにせよ、
ヒートポンプを熱源にしたものがベストな選択です。
もしここで、家の断熱性能が低かったらどうなるか、、、?
例えば、コラボの創業当初の性能、断熱等級3(Q値 = 4.2)だったら?
体感温度21℃のために必要な室温は、やっぱり19℃。
その時の熱損失は、、、
1852W
この時、月あたりの暖房費(電気代)は、
13000円/月
うげ!
超高い、、、
トップランナー基準(HEAT20 G1基準)の場合で3600円/月、
断熱等級3の場合で13000円/月。
4倍もの暖房費の差が付きます。
恐怖。
こうなったらもう床暖房なんて使う気になれません。
我慢しようと思えてくる。
※でもそんなことしたら医療費が肥大するし、、
もうちょいオマケでもうちょいオマケで断熱等級4の時はどうなる?
(以下省略)
7200円/月
んー、、安くなったけど、まだ、高いですね。
更に次回(床暖房のイロハ(3))は、
エネルギー資源を出来るだけ使わないようにするための方法です。
一次エネルギー消費量の話。
建て替えを予定しています。現在都市ガスを利用していますので、給湯はリンナイエコワンを考えています。(ノーリツのハイブリッド給湯器のカタログ請求中)
そこで1階の暖房についてですが、エコワン利用してリビング、ダイニング、キッチン(計20畳)を床暖房。和室(8畳)をファンコンベクタにより暖房したいと思っています。なお、熱のゴロウさん推奨の断熱等級4で施工する予定です。
エアコン暖房と比較し、イニシャルコスト及びランニングコスト両面で御教示願います。
返信遅くなりました。見落としていました、、、すみません。
まず、高垣が推奨するのは断熱等級4ではありませんので、ご注意下さい。最低でもZEH補助金が受けれるくらいの断熱性能はあったほうがいいと考えています。
そしてさらにランニングコスト比較をしたら、床暖房とエアコンは全く勝負になりません。エアコンの圧勝です。
床が暖かい環境がどうしても好き!ということであれば床暖房は悪くない選択肢だと思いますが、ランニングコストに着目するなら、勝ち目はないです。ファンコンベクタも同様です。
断熱性能を一定以上まで上げて、エアコンを24時間運転するような環境なら床暖房の必要性はほぼ感じないでしょうし、ランニングコストも驚くほど高額にはなりません。
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1106874.html
↑この記事にありますが、24h運転とOn/Off運転の差は、30円/日程度だったようです。ということは、1000円/月以内に収まる可能性も十分ある、ということです。
乾燥が嫌、ということであれば床暖房もエアコンも変わらないし、どちらも別途加湿すべきでしょう。
こんな感じで参考になりますでしょうか?
ありがとうございました。