風の通し方、と言っていますが、
それは外で風が吹いているときの話。
高垣の住む愛媛県は、全国でも屈指の風の弱いエリアです。
風が弱い日、吹かない日、というのも十分ありえます。
風が吹いていない日は、どんなに通風を検討した住宅でも、
風なんて抜けません。※そりゃそうだ
ここで、必殺技を出そうと思います。
「重力換気」です。
重力換気を説明するために「煙突効果」の説明をします。
長い筒の中の空気が外の空気よりも温度が高い時、
暖炉の煙突のように、中で上昇気流が発生し、
筒の下から新鮮空気を取り込みながら筒の上部からどんどん排気される効果を言います。
絵に書くとこんな感じ。
左端が、暖かい空気が入った筒をポンと置いた状態。
暖かい空気は軽いので上昇
下から新鮮空気が供給される。
の連続。
この筒、長ければ長いほど筒の中の暖かい空気が上昇するという特徴があります。
この「筒」が「家」のカタチだった場合に、
この「煙突効果」をによって換気ができる、という考えです。
殆どの場合、外気よりも室温のほうが高くなるので、
何時でもこの「煙突効果」で換気をする事ができそうです。
さて、どんなふうに換気が起こるのか、
ジャーナリストの南雄三氏による「通風トレーニング」
という本を参考にさせて頂こうと思います。
書籍内で具体的なシミュレーション結果を示していて、
図を出してくれているので、
直感的に分かりやすいと思います。
室外、室内、どちらも28.2℃
そこに、太陽の光や室内の発熱等々で、
合計4500Wの熱が追加される環境で、
1F、2Fの窓から空気が出入りする様を、絵で示します。
まずは初期の状態。
室内も室外も、気温28.2℃。
家の中の空気に対して合計4500Wのエネルギーが追加されていきます。
左の2階建ての場合は1F:2400W、2F:2100Wという感じのバランス。
合計4500Wのエネルギーが室内に追加されていくので、
室温が上昇します。
ここで「煙突効果」です。
暖かい空気は上から抜け、
下から新鮮空気が供給されます。↓
「煙突効果」は、その筒が長ければ長いほど、
筒の中で動く空気も強く大きく動かされます。
この考えを家に適応すれば、
1階の窓の位置と2階の窓の位置に非常に大きな高低差があれば、
簡単に実現するレベルです。
「筒が長いほうが強く大きく空気が動く」と書きましたが、
具体的には上記の様になるようです。
1F、2Fを別々にした場合(左の図)、
1Fは1190㎥/h、2Fは280㎥/hの換気量になります。
これが、筒短い版。
1F、2Fが吹抜で繋がっている場合(右の図)、
4280㎥/hの換気量です。
なんと、4倍。
こんなに差がでる。
家で「煙突効果」を最大化するには、
吹き抜けを作って1Fと2Fをつなぐことが必要です。
そうすれば、外に風がなくても、高低差のある窓で「煙突効果」を利用でき、
自動的に換気される、ということです。
家の通風を検討するときは、
1)まずはどの方位から風が吹いても家の中を風が抜けるよう、窓の配置を考える。
2)風を効果的に取り込むよう、窓の吊り元を検討する
3)無風時にも室内で風を起こすべく、重力換気できる間取りにする。吹き抜け必須。
この1,2,3をたどれば、風の通る間取りになる、はず!
ヌケやミスは減ります。
異論、反論、気になること、分からないことがあれば、
お気軽にご連絡ください。
熱のゴロウ(高垣 吾朗)
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