風の通し方・捕まえ方(1)

風がよく抜ける家、高垣は好きです。


 ※オートックワンより転載

「パッシブデザイン」の要素に、「通風」があります。
家の中を風が通り抜ければ、
例えば夏は、溜まった熱気を効率よく外に排出することができます。
冬は、、例えば鍋をして室内がものすごく湿気だらけになった時、
すぐにその湿気を逃がすこともできます。
(熱も逃げちゃうので冬は通風が活躍する場面て、少ないというか、殆ど無いですが)

夏の熱気を逃がす事ができること。
そして、風に吹かれる涼感で、
気温が上がってきてもしばらくはエアコン無しでも過ごせたりすること。
部屋を冷やす時期を短くする効果が見込めるので、
エアコンを使う頻度を下げることができ、
省エネになります。

今日は、考えやすいので、
平面で通風を考える手順、基本的な流れを説明します。

四角い家があります。
四角い家に向かって風が吹いてきます。
風向は、分かりやすいように、大きく分けて2パターンで考えます。

A) 面に対して垂直に風が吹く
B) 面に対して45°傾いた方向から風が吹く

これらA、Bを図にすると、以下のような感じ。

さてこの時、各壁にはどんな圧力がかかっているでしょうか?
それぞれの場合でどんな風に風の力がかかるかというと、
こんな感じ。

面に対して垂直に風が吹いてくると、
上の図の左側みたいになります。
正面の面は正圧がかかり、押されます。
その他の3面には負圧が掛かり、
もし負圧がかかっている面に穴が空いていれば、
その穴から空気を引きずり出す効果があります。

面に対して45°傾いて風が吹いてくると、
上の図のように、手前2面には正圧がかかり、
奥側2面には負圧がかかります。
先ほどと同じように、負圧のかかっている面に穴が空いていれば、
その穴から空気が引きずり出されます。

風が建物にぶつかると、上記のような圧力分布になります。

通風を考える、ということは、この圧力分布をアタマに入れて、
正圧のかかる面と、負圧のかかる面に穴をそれぞれ開け、
家の中に風を引き起こすことに他なりません。

真正面から拭いた風を受けて、手前は正圧、他の面は負圧なので、
それぞれに窓(開口)を設置すると、
下の図右側のように風が通り抜けていくことになります。

45°の角度から拭いた風を受けて、手前2面は正圧、他の2面は負圧なので、
それぞれに窓(開口)を設置すると、
下の図右側のように風が通り抜けていくことが想像されます。

1.風が吹いた時の各面の圧力の正負を確認
2.正圧側、負圧側に開口を設置し、風が通り抜けるように窓を配置
3.吹いてくる風は一方向では無いので、全方位について通風計画を立て、
  エアコン使用頻度を下げるようにする。

以上。
そう。これだけです。
風の通り抜けやすい窓の配置を検討しているときは、
上記の内容を順番に頭でササッと考えているだけです。
あとは、東西南北全ての方位に対して、どんな風が入るかしっかりと検討し、
全方位の風に対して準備しておけば、
何時でもどこでも、どの方位でも、
外の風をうまく取り込み室内に風を起こすことができます。

ちなみに、通風なんてたいして省エネにならないし、
そんなの、過大評価して拘っても仕方ない!
という意見があるのも承知のうえです。

じゃあなんで通風について書くのか?
それは、

異論、反論、気になること、分からないことがあれば、
お気軽にご連絡ください。

のゴロウ(高垣 吾朗)

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