エネマネハウス2015を見学した感想、少し間が空きましたが、
今日は立命館大学の家を見て考えたことを書きます。
過去の記事は以下をご参照ください。
【エネマネハウス2015(1)】
http://collabo56.blogspot.jp/2015/10/2015.html
【エネマネハウス2015(2)】
http://collabo56.blogspot.jp/2015/10/2015_31.html
【エネマネハウス2015(3)】
http://collabo56.blogspot.jp/2015/11/2015.html
何を意図して設計したのか?ということは、
パッと見の印象だけでは分からない、という話です。
まずは外観。
太陽光パネルを全面に押し出していて、
なんともメカメカしい外観です。
かなり積極的に、意匠に太陽光パネルを取り込んでいます。
こちらから見るとわかりますが、
1階のトイレと2階のお風呂が、南側にバーンと丸見えです。
かなり積極的に、意匠に風呂トイレを取り込んでい、、、るのか?
丸見えだからお風呂に入れない!とか、お手洗いできない!
なんてことは置いといて、
南側に、太陽の光を遮る軒・庇を付けること無く、
こんなに大きな窓を配置するのは、
パッシブデザイン的にもはや有り得ません。
悲鳴が上がります。
なぜこのような配置になったんだろう?!
分かった上でやってるんだろうか?
なんなんだこの家は?
エネルギーを削減する予定はあるのだろうか?
傍目にも、高垣の頭の上に「?」が飛び交っている様子が見えたと思います。
ブログを書いていて、ここでもう一つ驚きの事実が!
立命館大学の建物の写真、全然撮ってませんでした、、、ごめんなさい、、、、
外観の写真を撮って終わってました、わたし。
気を取り直して。
間取り。
真ん中に配置された畳コーナーを空調して、そこに逃げ込む、という感じでしょうか。
他の領域は中間領域として扱う、ということ?
2階にいた学生さんに聞くと、まあまあその通りのようす。
確かに空調エリアを絞れば、必然的に消費エネルギーも抑えることはできます。
できますが、中間領域の通風は、ちょっと風が滞留しそうな気配。
うーん、通風計画も、弱め。
そろそろ解釈に行き詰まりを感じ始めたところで、
修士2年の学生さんに出会いました。
この方です。
ココナッツの実持ってる佐竹さん。
※面倒なオジサンに丁寧に対応してくれてありがとうございます。
色々と疑問・質問をぶつけていくと、分かってきました。
そもそも、
「エネルギーを削減してZEHを実現する」
「省エネであるべき」
「エネマネハウスなだけに、エネルギーが主題」
と思い込んでいた高垣のアタマがカチンコチンでした。
ちょっと違ったんです。
エネマネハウスのコンセプトは
「エネルギー」
「ライフ」
「アジア」
の3つです。
高垣は省エネだけど快適な住宅を作る、程度にしか思っていませんでしたが、
もう一つ、「アジア」があるんです。
日本にいると気づけないけれど、
世界に目を向けるとものすごく貴重な資源があります。
それは、「水」です。
この家は、「水」を浄化しながら循環させ、
水道が繋がっていなくても雨水や排水を浄化して利用することで、
生活することができるんです。
水のオフグリッド住宅なんです、この家。
なんでそんな住宅を作ったのか?
それは、「アジア」を見据えているからです。
様々なインフラが未だ整っていない東南アジア。
そこでの普及を目指した時、電気も、水も、系統から独立した住宅がどれだけ重要か。
そして、「水」を中心に据えた住宅だからこそ、
水回りを人目に付く南側に配置し、
何を目指した住宅か、より明確に表現していたんです。
風呂トイレ、そして水のタンクと浄化システムを、南側においた理由が、
腹に落ちました。
なるほどー!
それらも含めての感想は以下のとおり。
敢えての選択かもしれませんが、
「水」の表現とエネルギー制御が対立していて、
さらに、断熱性能が不足(狙う性能が低い)しているために、
「エネルギー」と「ライフ」の観点では非常に辛い住宅と思います。
ただし、日本に居ながらにして「水」が貴重な資源であることを考えさせるという点で、
他には無い特色が出ていたし、問題提起という意味で価値のある住宅だと思いました。
家の設計にどんな意図が込められているのか、
聞いてみないとなかなか分からないものだと実感しました。
水の計画をした佐竹さんに聞いて初めて理解できたことがあったように、
実際に設計・計画をした人と直接話すことは、やはり価値あることだと思います。
異論、反論、気になること、分からないことがあれば、
お気軽にご連絡ください。
熱のゴロウ(高垣 吾朗)
g-takagaki@collabohouse.info
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