ニンゲンの体感温度は、
自分を取り巻く空気の温度だけでは決まりません。
自分を取り巻く壁の温度と空気の温度を足して2で割ったものが、
だいたいの体感温度になると言われています。
熱の伝わり方には3種類あります。
【伝導】 隣接する物質に原子の震えが直接伝搬していくもの
【放射】 物質が熱を持つと出る目に見えない電磁波によって熱が伝わること
【対流】 熱を持った気体や液体が流れに乗ってそのまま移動していくこと
体感温度は、このうち「伝導」と「放射」によって決まる、ということです。
人の体温は、37℃程度。
周りの気温が37℃の場合、【伝導】で体から空気へ伝わる熱は±0になります。
周りの壁の温度も37℃の場合、【放射】で体から出て行く熱も±0になります。
さて、一般成人男性は体内で100Wの熱を作り続けています。
気温と壁の温度が37℃の場合、もしくは室温が37℃の場合、
この100Wの熱は出て行くことができず、
体に溜まっていきます。
あっという間にオーバーヒートしそう、、ですが、
ヒトの体はすごいですね。汗かくんです。
汗が乾くときに体から熱が奪われます。
奪われていく熱が100Wなら、オーバーヒートせずに済みそうです。
汗をかくとき、というのは、
周辺環境によって熱が体外に逃げる量が減って、
体内で作られた熱が溜まり始めて体温が上昇しそうになった時に、
体が、あ、ヤバイ、と判断して出すもの、ということです。
ヒトの体は本当にすごい。
運動すれば体内で作られる熱は多くなるので、
その分、汗をかく可能性も高まるわけです。
では、汗をかかない快適な環境はどういう状況か、といえば、
「体内で作られた熱と同じ量の熱が、体外に放出されている状態」
ということになります。
気温を**℃にすればOK、とか、壁の温度を**℃にすれば完成、とか、
単純な話ではないですね。
気温と周囲の壁の温度を調整して、
体から100Wの熱が出て行く状態にすることが、
快適な環境を作ることに他なりません。
さて、断熱・気密性能を高い状態にすると、
壁の温度 ≒ 室温
に近づいていきます。
100Wの熱量、というのは、ちょっと体を動かした時。
静かにしているときは75W程度、と言われます。
静かにしているときは、高気密高断熱の住宅で、室温が21℃
ちょっと動いているときは、室温が19℃。
この辺りが、汗もかかず快適、と感じる環境でしょう。
あら?
これって夏のエアコンの設定温度よりも大幅に低いですが、
なぜでしょう?
それはまた次回。
コラボハウス一級建築士事務所
タカガキ ゴロウ
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