エネマネハウス2015(2)

昨日の続きです。

エネマネハウス2015(1)
http://collabo56.blogspot.jp/2015/10/2015.html

各大学の建物について、考えたこと・思ったことを書きます。
まずは、会場入口に一番近かった山口大学。
「やまぐちさんの風の家」

奇抜な外観から、
家の形状で何かの問題解決をはかったことが伺えます。

中に入ると、けっこうな人。
写真上部にはトップライトがあります。

トップライトから降り注ぐ日射は、夏には強烈な暖房になってしまいますが、
調光フィルムを使い、ナナメから入った光を屈折させつつ反射して、
比較的深めの角度でも太陽の光を跳ね返すようにしていました。

全体の通風イメージは、パンフレットから拝借。
重力換気で熱気を逃がす夏、という感じ。
通風・重力換気を生かすための形状のようです。
断面で通風を検討すると、屋根が連なったこんな形状になるということでしょうか。

南側の(上の図だと左端の)屋根が重なった間の窓は、
陽の光を取り込んで天井に反射させて、
室内を明るくさせるためのしかけになっています。

天井が太陽の反射光で照らされて明るくなっています。
これで照明を使う時間が短くなり、
その分エネルギーを使わずにすみます。

次は蓄熱。
サッシとサッシに挟まれた、
ウチとソトの中間の領域に、
蓄熱のためのブロックを置いています。

昼間、太陽の光で暖められたブロックが、
夜、気温が下がると熱を放射して暖房負荷を下げます。

次、「ダイナミックインシュレーション窓」です。
こんな窓があるの、知りませんでした。

仕組みは以下のとおり。

室内から屋外へ出ていこうとする熱を、
屋外から室内へ流れる気流で捕らえ、室内側へ戻す仕組みです。

三協アルミの説明資料によれば、
熱貫流率はLow-Eトリプル樹脂サッシのクリプトンガス入に匹敵する、らしいです。

んー、これは論文探そう。

今回のエネマネハウスのコンセプトは3つ。
 「エネルギー」
 「ライフ」
 「アジア」

これらに対する「やまぐちさんの風の家」の回答はこんな感じでしょうか。

 エネルギー:
   昼光利用の推進。
   通風・日射遮蔽によって冷房負荷を低減。
   蓄熱・日射取得による暖房負荷低減
   ダイナミックインシュレーション窓による暖房負荷の低減

 ライフ:
   快適さ、過ごしやすさの最大化と立体的な間取りの楽しさ
   快適さを捨てること無くエネルギーを削減する手法を取り入れる

 アジア:
   まずは地域産木材の利用、バイオマス暖房の利用による建材・燃料の地産地消化
   さらにそれを同じ木の文化を持つアジア諸国へ展開

住宅の形状、設備でパッシブデザイン要素を一つ一つしっかりと検討し、
特に「エネルギー」対策に注力している印象でした。

窓と窓に挟まれた中間領域を作ることや、
トップライトの設置角度、
昼光利用のための窓の設置、
そしてダイナミックインシュレーション窓は、
けっこう参考になりました。
面白い。

コラボハウス一級建築士事務所
高垣 吾朗

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