前回の続き、出雲屋敷を見て気づいたことです。
こんな生活の仕方があるなと思った前回とは別の視点、
熱的にどんな配慮があるのか、考えました。
それにしても、よくできてます。
まずは、例えば寒い寒い冬、外と室内をどう区切るか考えると、
こんな感じになります。
外気に隣接する「縁側」と「土間」は、
寒さを一旦受け止める緩衝地帯として居室と切り離します。
およそ90cmの縁側は、
一番外側をガラス戸にすることで、
太陽の光をしっかりと取り込むサンルームのようになります。
ここで暖められた空気で包まれた、真ん中の暖房領域。
冷たい外気に直接晒されることのない、
中間領域に守られたエリアの出来上がりです。
床も畳なので熱伝導率が低く、ヒヤッとすることはありません。
さらにもう一つ。
欄間(らんま)の存在です。
左上2部屋の間、左下2部屋の間には欄間が設えてありましたが、
それ以外にはありませんでした。
※欄間(らんま)は鴨居(かもい)の上のところ、横長に四角く抜けたところです。
これらは、同じ方位の、完全に外気に接することのない部屋同士の空気を繋げています。
南側の部屋なら、その暖かさを共有できます。
北側の部屋なら、その涼しさを共有できそう。
少なくとも、熱的なエリア区分が明確で、
その恩恵をしっかり受け止めようとする姿勢が見えます。
建具による気密の確保が難しい日本の家の作り方の中で、
寒さをしのぐための知恵がそこかしこにあります。
高い性能を持たない建具をどのように使えば体感温度を下げないのか。
これ、どこかに使えないかなあ。
ひとまず、今回高垣が気づいた点をまとめると、
・中間領域を設定し、外気との緩衝エリアを作る
・緩衝エリアには日射を十分に取り込む
・人が触れる部分(壁・床)は熱伝導度の低いものを使う
・欄間で熱的な空間の統合や区分をコントロールする
中間領域を作ることは、そのまま延べ床面積が大きくなってしまうので、
予算に目一杯跳ね返ってきます。
人が触れる部分の部材を柔らかい針葉樹の木材を使ったりと、
熱伝導率の低いものを使うのは、そこまで費用がかからないかもしれません。
欄間は、空気を積極的に移動させて家全体に空気を動かすための通り道として、
かなり有用だと思います。
計画は結構大変ですが、効果ありそう。
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